先日 iOSDC で「iOSもAndroidもマネージャーが足りない」という話を聞いた。そこで、「別にMobile開発の経験がなくてもマネジメントはできるんじゃないか」という話が出て面白かったのでガッと考えを吐き出してみたい。
まあマネージャーに何を求めるか次第ではある。技術的な意思決定も含めて任せるのであれば、正直経験がないと厳しい。チームの地力アップといった教育を兼ねた期待も、自分で手を動かした経験がないとなかなか難しいと思う。
それでももしお願いするなら、その人自身にMobile開発のプレイヤーとして入ってもらって一定期間キャッチアップしてもらう必要がある。優秀な人ならば、経験がなくとも3~6ヶ月くらいで組織内で一番詳しい人になれることもある。そういう人を実際に見てきた。
プロジェクトマネジメントの期待が大きいとしたら、経験がなくてもいいかもしれない。その場合は、チームの中に技術的な部分で頼る人を作っておくなど工夫する感じになる。どこを頼ってどこで成果を出すかを明確にしたり、Techリードといった役割を作ったりなど組織化のためのマネジメントが必要になる。
エンジニアリングバックグラウンドがないがわからないことはわからないと言ってわかるまで聞いて理解して方針を決めるタイプのマネジメントを実際に間近で見たこともある。常に相手へのリスペクトを持って、見栄をはらず教えてもらうスタンスで正しく物事を理解するのである。これはマネジメントの汎用的なスキルと言える。
経験がないと自分でなんとかする選択肢を取らないという制約になるのも、もしかしたらプラスに働くかもしれない。いざとなったら自分で開発するというのは強力な武器ではあるが、ついついずっとそれを続けてスケールさせられないというのもよく聞く話である。
ある意味頼らなければやっていけないというスキルセットがプラスに働くこともあるかもしれない。この場合、頼れるメンバーがいてその人と期待を合わせておく必要がある。
メンバーのキャリア相談という観点はどうだろうか。ここは直接相談を受けるのは難しいが、自分では無理だと割り切って外部の有識者を連れてくるという手は取れるかもしれない。
たとえば憧れてる人を聞いてみて、その人に直接コンタクトを取って雑談の場を持ってみたりとか。自分もQAチームのマネジメントをしていた時には他社の面白い記事を書いたり登壇資料を公開している人に声をかけて招待して話したりしていたことがある。あれは自分自身も非常に勉強になってよかった。
メンバーの目線で考えるとどうだろうか。マネージャーにもよるだろうが、経験ない人に頼るよりも先に拒否反応がでてしまったり、ちょっと不安にはなる人もいるかもしれない。
ここは経験のないマネージャーを登用する前にきちんとメンバーとコミュニケーションをとっておく必要がある。また、マネージャーは一定そういう状況を覚悟した上で1on1などで関係を少しずつ作っていかなければならない。
色々考えてみたが、やはり自分は経験がある人のほうがよいとは思う。大事なのは、何を期待してマネージャーという役割を置くかを研ぎ澄まして明確にすること。明確にした結果、経験のないマネージャーでも満たしうる役割であれば皆で全力でフォローする前提で登用すればよい。
なんだか当たり障りのない結論になってしまった。実際に経験のない職種のチームのマネジメントをやってきた人は意外と多いと思うので直接意見を聞いてみたい。