Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

いちばん優秀な "お手本" メンバーを育成担当者にする

人の "育成" をするなら その組織の中でとびきり優秀で "お手本" になってほしい人が担うべきだと思っていて、そのあたりの考えを雑にまとめておきたい。


育成は1年後の組織全体のケイパビリティを大きく変えうる非常に重要な取り組みである。特に新卒など真綿のように吸収力の高いメンバーにとっては、いかによい "水" に触れてもらうかが重要になる。

雛の刷り込みみたいなもので、「このくらいを目指さなければいけないんだ」という当たり前レベルをできるかぎり高くするべき。そのためには、組織の中でとびきり優秀で "お手本" となってほしい人のエッセンスを吸収してもらうのがよい。

育成担当者というと、なんとなく「教えるのが上手い人」や「面倒見がいい人」を最初に想起するかもしれない。そういう人はたいてい人当たりもよく頼みやすいが、そういった適正らしきものを最初の判断軸にして育成担当者を決めてはいけない。

最初の判断軸はあくまで優秀でお手本になるレベルの人かどうか、その次に育成のテクニック面の適性があるかという順番で考えること。自分の経験で言えば、優秀な方は 仮に自身が育成に不向きという自己評価をしていても一定以上の質で育成タスクを全うできる。

ここでいう "お手本" というのは、全方位で完璧な一人の超人である必要はない。たとえば システム設計の考え方についてはこの人、データベースまわりならこの人、といった具合に領域を決めて選出してもよい。選ぶのが難しいけれど、会社のカルチャーを体現している人 とかもよいと思う。

「それはそうかもしれんが理想論やろ」と感じてしまうのは、そういう人はすでに育成以外の業務でだいぶ忙しいという事実があるからだと思う。それはそう。間違いない。

なので、長期目線で組織全体のケイパビリティを引き上げるために、そういう優秀な人にこそ育成に時間を当ててもらうことをトップダウンで決めなければならない。これは経営やマネジメントがするべき意思決定である。当然ながら、育成における貢献も適切に評価できるように整備も必要。グレードごとの評価軸のひとつにしてしまうのもいいかもしれない。

こういう長期目線での方針を意思決定するのはとても難しい。最終的にはエイヤと決定して細かく軌道修正しながら正解にしていくしかない。がんばろう。

なんかこういう話を書いていると、優秀とかお手本とか何様なんじゃ という気持ちにもなってくる。うまく気持ちを説明できないけれど、そもそも "育成" という言葉にも少し傲慢さを感じることもある。

まあそういう気持ちはありつつも、やはりある程度の規模の組織でスケールさせていくのであれば "育成" の観点は大事だし考えていく必要はあると思っていて、半ばわり切って考えるようにしている。

「教えるのが上手い」、「面倒見がよい」かどうかで育成担当者を決めてはいけない。いちばん優秀な "お手本" となる人が担当すべき。そういう人は、育成もひとつのタスクと捉えて、必要な能力もキャッチアップしつつやりきってくれると思う。