プライベートチャネルやDMでのやりとりは避け、ドキュメントの公開範囲もできるかぎり広くオープンな状態にするほうが一般的にはよいとされることが多い。
自分もそのほうが好みだし働きやすいと感じる。一方で、オープンではなくクローズドな "閉じたコミュニケーション" を選択するべきこともあるとは思う。
どういう時に閉じたコミュニケーションを使うのか、使いどころを雑に書き出してみる。
1. センシティブな情報を扱う時
- 当然ながら広く公開されるべきではないことは特定の人のみでやりとりされるべき
- 具体的には、人事情報、個人情報、家庭や身体などのプライベートな事情あたり
- これはルールにできることなので、社のコミュニケーションガイドラインなどを作って明記するといいかもしれない 例
2. 個人へのフィードバックをする時
- 相手に率直なフィードバックをする時には、一対一や少人数での閉じた場所で行うほうがよい
- あえてオープンな場所でやりとりすることもなくはないが、初手でオープンな場所を選ぶのは避けたほうがいい
- オープンにするなら、閉じたコミュニケーションで相手の反応を見て、合意の上でオープンに記録を残すやり方がよい
- 逆に褒めたり称賛したりする時はオープンなところでやるべき。相手やチームによってはオープンにやりにくいと感じることもあるかもしれないが、基本的にはポジティブフィードバックはオープンに
3. 相手との関係性ができていない時
- 入社したばかりの新メンバーでまだ文化にも馴染んでいない時などは、DMでのやりとりを完全に禁止しないほうがよいこともある
- オープンコミュニケーションを過度に強制することで、何かを聞いたり発言したりするハードルが上がってしまうのもよくない
- 関係性ができていない状況でオープンにコミュニケーションを取るのはコストが高くスキルも要求されるので、一定の閉じたコミュニケーションを許容したほうがよいこともある
- なし崩し的にずっと閉じたコミュニケーションを取り続けることにならないよう、期間を明確に決めたり振り返りをしたりするとよい
4. 個別のメッセージングを重視したい時
- チームやメンバーによって丁寧に伝えていきたい内容がある時、いきなりフルオープンにするよりもまずは個別にコミュニケーションを取ったほうがよいこともある
- たとえば事業の現状や目標など。テキストベースで全員が見れるようにすることはできるが、ただ見れるようにするだけでは個々人がどう受け取るかわからないようなケース
- 情報はメッセージングとセットで考えなければならないことも多い。メッセージング抜きで情報を見た時に、"テキスト以上のことを思慮しつつテキスト以上のことを邪推しない" というスキルを誰もが持っているわけではない
皆が同じレベルの情報を同じタイミングで持っているほうが、意思決定の質とスピードは上がる。そのためにオープンなコミュニケーションを取れるほうが望ましいが、皆が情報にアクセスできることと 皆が情報を同じように理解できることはイコールではない。
オープンなコミュニケーションがうまく機能するには、一定の想像力が要求される。過度な "オープン警察" にならず、「オープンにコミュニケーションを取っていないのは何らかの理由があるかもしれない」といった具合に想像できるスキルと余裕が必要。
あるいは、閉じたコミュニケーションを取る理由を明確に説明するのもいいかもしれない。コミュニケーションは双方向なので、話す側/聞く側お互いに想像力を働かせ、オープン一辺倒にならずに使い分けられるといいね。そして、次の曲が始まるのです。