マネージャーや横断チームのリードを担っていると、自然と他チームとの関わりが増える。
他チームと関わる中では、必要な情報を適切に把握しておくことが大事。それができていないと、よい意思決定ができなかったり常に周囲に振り回されてしまったりして成果を出しづらい。たとえば、「品質保証に責務を持つ横断チームなのにいつのまにか知らない機能のリリースが進んでいた」みたいなやつである。
こういう「適切なタイミングで情報をキャッチできていない」という状況はわりと発生しやすい。そういう時に情報をキャッチできるように対処するプロセスを雑に書き出してみる。
1. 役割を明確にする
- 何に責務を持っていて何をする人/チームなのかを明確にすること
- 役割を知ってもらう前にまず自分自身やチームの中で認識を揃えることが大事
- 意外と役割自体がふわっとしていることも多く、その状態だと当然必要な情報も集まってこない
2. 役割の認識を擦り合わせる
- 他チームに対して自分やチームの役割を知ってもらうこと
- 「何に責務を持っていてどういう目的で存在しているか」、「どういうところは頼ってほしくてこういう時に声をかけてほしい」みたいな内容をドキュメントにして明確に伝えておくとよい
- 1回で浸透することはないので、継続的に同じことを何度も話すのが大事。「また同じことを言ってるな」と思われたらうまくいってる。話す側はまた同じことを言うのもなあと思いがちだが、想像している以上に聞く側は覚えていない
- チャットツールで定期的に発信したり、定例ミーティングのアジェンダに組み込んで定型化してもいいかもしれない。キャッチーなフレーズにするのもとても有効
3. コミュニケーションフローを見直す
- 他チームへの意識づけだけではなく、仕組みで情報をキャッチできるようにすること
- 自分/チームの役割を果たすために、どこからどういう情報を集めるか/集まるようにするかを考える
- 他チームの会議体に参加する、議事録を確認する、必要なら新しい会議体を作るなど。会議をむやみに増やすべきではないが、目的が明確で適切なアジェンダと頻度が設定された定例会議は非常に有効
4. 振り返りをする
- 定期的に振り返るタイミングを作り、役割とコミュニケーションフローをアップデートすること
- コミュニケーションフローが機能しているかという観点での振り返りも重要だが、そもそも今の役割が適切なのかを確認することも重要
- 自チームやまわりの状況は刻一刻と常に変化していくので、同じことをそのまま続けられるほうがめずらしい。フィードバックをもらい振り返りながら補正していくしかない
- 振り返りはあとで適宜入れようとするとウヤムヤになりやすいので、最初から一定期間ごとに予定を入れておくのがオススメ
これらのプロセスを設計するのは、マネージャーが持つことが多いと思う。一方で、チームメンバーでも声を上げてよくしていける話でもある。
なんかうまく情報をキャッチできていないなと感じたら、たぶん 1~3 の中でどこかが抜けている。「自分たちの役割がちょっとわからなくなってきたんですけど」といった指摘をするのもよいと思うし、「たぶん役割を理解してもらえていないと思うので、いま一度全社ミーティングで位置づけやミッションを話すのはどうですか?」といった提案をしてもいいかもしれない。こういうボトムアップの意見はマネージャーやリードにとっては本当にありがたいものである。
適切なタイミングで情報をキャッチできていないと、なんだか自分やチームが軽んじられているような、存在意義を見失ったりするような感覚になる人もいるかもしれない。
実際にはそうではなくて、周囲もどう動いていいかわからず混乱しているだけなことも多い。こういうのは問題意識を持ったときが一番のタイミングで、遅すぎることはないし焦らなくていい。放置せず対処すれば必ず今より少しずつよくなるし、それでいいと思う。