過度な馴れ合いになるのはよくないが、ほんのちょっとしたことでも褒め合い称え合っていくチームというのは非常に居心地がいい。
一方で、こうしたちょっとした "褒め" を伝えるのは意外と難しい。なんとなく伝えるタイミングがなかったり気恥ずかしかったりする。
これはいわゆる "組織文化" の話かもしれない。文化というのは、個々人の行動によって形成されていく。一定規模以上の組織において何かしらの行動を促すには、仕組みがあったほうがいい。
自分の経験から、ちょっとした称賛や感謝を伝えやすくする仕組みを雑に書きだしてみる。
1. 褒める場所を作る
- チャットツールで
#homeruみたいなチャネルなど、「ここではちょっとした "褒め" を雑に書き込んでいいんですよ」というハードルを下げた場所を作る - 「◯◯さんが◯◯してくれてよかった!」、「あの時のアレ、めちゃありがたかった!」、といったことを誰もが雑につぶやけるようにしておく
- 特定の褒める系 emoji がついたらそのチャネルに流れるようにしておくのもよい
2. emoji をつける
- チャットコミュニケーション特有かもしれないが、何かの発信に対して emoji をつけるだけでも感謝や称賛の気持ちは伝えられる
- 誰でも気軽にできるので、個人的には皆が少し過剰に emoji をつけるくらいがちょうどよいしガンガンやるべきだと思っている
- 一方で、emoji だけで済ますことに対してネガティブな意見を持つ人もいると思う。できるのであれば、称賛や感謝の内容をコメントで書いて伝えたほうがたしかによいとは思う
3. 何かを送る
- Unipos など、感謝の気持ちを何らかのインセンティブとセットで送るのもとてもよい
- 「サンキューカード」という手書きのカードを送るという取り組みをしていたところもあった。こういうのは送られると結構嬉しい
- 何かの節目に手紙を渡すなどもそう。電子的であれ物理的であれ、何かを送るというのは称賛や感謝を明確に伝える手段のひとつである
4. 定期的にフィードバックをする
- 四半期ごとの評価など、お互いにフィードバックするタイミングを作ってそこでよかったことを伝えるのもよい
- 組織全体で360度フィードバックのような取り組みをやっていなくても、自分が所属しているチームだけで「ちょっとやってみませんか?」と提案してやってみることもできる
- そこまで改まってやらなくても、チームごとの毎週の振り返りにおいてKPTのKeepのようなパートの中で少し意識的に称賛や感謝を伝えるだけでもよいかもしれない
5. 表彰する
- "表彰" という仕組みは、わかりやすく称賛や感謝を伝えられる
- 一方で表彰は両刃の剣でもある。表彰されなかった人も出るし全員が納得できないこともある。セレモニー的な雰囲気が苦手な人や、逆に白けてしまう人もいるかもしれない
- 全体で見ればわりと盛り上がる取り組みで、継続していくことで文化にもなっていくので選択肢としては悪くはないと思う
こんな仕組みがなくても心の赴くままに称賛も感謝も伝えていけばええやろと思うかもしれない。それはそう。それが理想だと思う。
6歳の息子氏はまさにそんな感じで、嬉しい時は「ありがとう!」と言うし、すごいと思ったら「すごい!」と言う。こういう純粋な気持ちを思い出すのが大事なのかもしれない。
ただ、現実的に大人になってからそういう気持ちを思い出すには、しばらく "演じて" みるしかないと思う。演じているうちにだんだん自然とできるようになり、いつのまにか人格になっていくのである。
よい環境、よいチームを作っていくのは個々人の小さなふるまいから。組織の仕組みがあるならそれに乗っかって、気持ち多めに称賛や感謝を伝えよう。称賛や感謝なんて、なんぼ伝えてもいいですからね。