組織で仕事をするなら自身の専門領域や役割を越境していくスタンスでいた方がいい。
役割をきっちり隙間なく分けることはむずかしいし、できたとしても状況の変化によってすぐに隙間ができてしまう。ボールが落ちないようにするには、お互いのカバー範囲を少しずつはみ出しておくしかない。個々人にとってもメリットは大きい。できることが増えやりとりの負荷も下がり、自分の仕事もしやすくなってくる。
LayerX社の「ボールを拾う人が偉い」や、リクルートの「染みだす」といった言葉は、"越境" を奨励するということだと理解している。
自分の隣の領域にも興味をもって関わっていくだけではあるのだけれど少しだけ注意点もあると思っていて、雑にまとめておきたい。
1. 体験して観察する
- 一見「もっとこうしたらいいのに」と思うことがあっても、いきなり否定して変えようとしないこと
- 越境先へのリスペクトを持って、いったん郷に従ってみると見えてくることも多い
- 特に関係性ができていないうちは適切な距離感を保つのが大事
2. スタンスを揃えておく
- 越境に対するスタンスをお互いに確認しておくこと。いちいち「越境していいですか?」のように許可を取らなくてもいいようにする
- 組織によって「ガンガンいこうぜ」と「いのちだいじに」くらい大事にしている価値観が違うこともあるので最初のすり合わせが大事
- 会社のバリューとして明文化されていたとしても、スタンスを確認しておいたほうがいい
- 仮に「越境ガンガンいこうぜ」みたいなスタンスで揃ったとしたら、「こちらに来てくれてありがとう」みたいな感じで言い合うようにしようねとか話しておくとよい
3. 自分が成果を出す分野を明確にする
- 自分がどこで一番成果を出すべきかを明確にしておくこと
- これは越境先ではなく自分のため。越境しているとあらゆることが自分の責任のように感じてしまったり、なんだかおせっかいばかりしているように感じてしまったりする
- 自分が成果を出す領域や得意分野を明確にして"軸"がブレないようにした上で、積極的に手を上げてボールを拾っていく方がよい
4. 定期的に役割を見直す
- 常に越境している場合、そもそも役割分担を見直した方がいいかもしれない
- 定期的に振り返って役割が適切かどうかを確認してすり合わせた方がいい
- 都度話してもいいけれど、振り返りの場を設定するほうがいいと思う
実は自分は上の 1. 体験して観察する
をうまくできずに越境先とぶつかってやらかしたことがある。
「越境なんてしてたら仕事が増えて損するだけやろ」という人もいるかもしれない。自分は運がよいだけかもしれないのでなんとも言えないが、実際にはそんなに損することはなかったと思う。越境していくと自然と考え方が広がり、想像力も養われてまわりを巻き込みやすくなる。
越境の仕方は色々あって、たとえばエンジニアならエンジニア以外の人たち向けにSQL勉強会をやってみたりしてもいいと思う。あるいは、人事メンバーに「採用活動の基本」みたいな話を教えてもらうとかもいいかもしれない。
経理や総務、デザインなど他領域に興味を持っていくことが最初の第一歩となる。最近自分は法務やコンプライアンス、経理の方々と関わることが多くて、知らないことばかりで大変だが全てが新鮮で楽しい。
ちょっとずつ隣接領域に染みだして越境しておくと何かしらいいことが起きたりする。"お作法"とか仰々しく書いてしまったが、詳しい領域を教え、知らない領域を教えてもらうのを楽しむくらいのスタンスでいいのかもしれない。