リファラルで候補者がたくさん来て採用につながり、入社後にも活躍してくれる状態は最高である。採用活動の理想と言ってもいい。
しかし、メンバー観点だとリファラルで人を誘うのをためらってしまうことも多い。いい会社/チームだと感じていたとしてもなかなか誘えないこともある。リファラルで人を誘うのをためらう理由を雑に書き出してみる。
1. 誘える組織ではないと思っている
- 中で働いていて、知り合いを誘える事業や組織ではないと判断していたら当然誘えない
- 組織自体はそこまで悪くないと感じていたとしても、「この人を誘えるレベルではないなあ」と尻込みしてしまったりもする
- たぶんこれがリファラルをためらう一番の理由で、"誘ってもいいと思える閾値" を超えていなければ話にならない
2. 誰にどう声をかけたらいいのかわからない
- どういうレベルのつながりに対して、どういう温度感でどのように声をかけたらいいのかわからないと誘えない
- 求める職種やレベル感、採用活動のタイムスパンなどが伝わっていないと誘いにくい
- 思い浮かぶ人がいても誘わないかもしれないし、誘う人がいないと判断されてしまうかもしれない
3. マッチするかわからなくて不安
- 誘ったあと、スキルが満たなくて落ちたとしたらちょっと気まずいなとか考えると誘えない
- 条件面がマッチしないんじゃないかなど、勝手に想像して声掛けできないということも多いと思う
- 仮に入社に至ったとして、組織のノリやチームメンバーと合わなかったら申し訳ないしやめておくかとなる
4. 採用プロセスが見えなくて不安
- 誘ったあと、採用プロセスで雑な扱われ方をされてしまって嫌な気持ちにさせたら申し訳ないなとか想像してしまって誘えない
- 特に、声掛け直後、見送りとなった時、オファーが出た後あたりで人事がどのように対応するかがわからないと不安に感じやすい
5. 関係性が変わりそうで嫌だ
- 仮に採用されたとして、たまに会って好き勝手に話していた飲み会もできなくなるんじゃないかとか思うと誘えない。関わりが深い人ほど適切な距離感を保ちたかったりする
- あるいは、リファラルのインセンティブ制度があると逆に相手を利用しているような気がしてしまうという人もいるかもしれない。これは候補者にもインセンティブのある制度設計になっていたとしても関係なくて、気持ちの問題と言える
6. 美学に反する
- 前職の同僚を現職に誘うのは不義理に感じるといった感じで、誘うこと自体が美学に反するということもある
- この感覚は自分もわかる。特に、前職でマネジメントロールをやっていた場合には前職も現職も成長してほしいと考えるのは自然だし悩ましい
- 完全に現職にコミットするのでそういう感覚は持たないというのも正しいと思う。一方で自分はこういう誘わない美学みたいなのを持っている人は好きだったりする
もっといろいろありそう。自分の知り合いを誘うのってお互いに色々リスクが大きいと感じるというか、関係性が深いほどむずかしいし、よい人ほど本当に誘ってよいのかとためらってしまうよね。
書き出してみると、リファラル制度と採用プロセスの設計と周知で一定は改善できると思う。いちばんの肝は何と言っても 1. 誘える組織ではないと思っている
で、ここがクリアできているのが一番大事。自分の中の "誘ってもよい閾値" を超えていなければ話にならない。結局、まずは今の組織や事業に向き合ってベースを作っておく必要がある。
というのはもちろん皆わかっているものの、誘える組織というのは求めだすとキリがない。自信満々に誰でも誘える状態ではないことを認識した上で、誘える部分を見極めてリファラルをワークさせ、より誘えるような組織を作っていくという"にわとりたまご"的な側面がある。「誘えない」とだけ高らかに叫んでいても何も始まらないので、一定の組織への信用と自身の覚悟をもってやっていくしかないのだと思う。
ちなみに自分は 5. 関係性が変わりそうで嫌だ
を気にしてしまって誘えないことが今でもある。吉祥寺の飲み屋 に定期的に飲みに行くソフトウェアエンジニアが3人いて、彼らはみな素晴らしいのだけれどあまり誘いたくないなと思ってしまう。このためらう理由を超える方法はまだ思いついていない。