責任には Responsibility
と Accountability
の2種類がある。 厳密な訳ではないけれど、前者を「仕事に対する実行の責任」、後者を「組織に対する説明の責任」という理解をしている。
この2つは両方大事なのだけれど、責任を果たす順番をつけるなら実行責任が先で説明責任が後。この順番を間違えると正しい意思決定ができなくなる。自分はちょっと油断するとすぐに説明責任を先に考えてしまいがちなので、雑に考えをまとめておく。
実行責任の第一歩は意思決定をすること。意思決定で一番大事なのは、意思決定者が「正しい」と思えることを打ち出すことである。結果として間違っていてもいい。むしろ正解にしていくことも実行責任に含まれるので、少なくとも意思決定者が「正しい」と思える決定を意思をもって掲げなければならない。
説明責任を先に考えてしまうと、正しいことが何かを考えることに時間を使わなくなる。「皆に気に入ってもらえるか」、「皆に受け入れられやすいか」という観点で考え、コミュニケーションプランを練ることに頭を使ってしまう。結果として、正しいことより前に妥協したことを打ち出してしまいがち。
実行責任を先に考えて、結果として落としどころを見つける "正しい妥協" はいい。説明責任を意識しすぎて、最初から合議で考えて顔色を伺うようなことをしていると "間違った妥協" になってしまう。
実行責任が先で、説明責任が後。メンバーと直接接するマネージャーは、ついつい説明責任を先に考えてしまいがち。何かを実行する時には、ある意味エゴイスティックに自分が「正しい」と思うことをまず考えるのが大事。その上で、メンバーが納得して同じ方向を向けるように説明責任を果たしていくのがいいと思う。
そういう答えがないことを決めるのが実行責任において一番むずかしいところだが、そこから目を背けて合議で決めようとしすぎてはいけない。それは説明責任を果たしているのではなく、実行責任から逃げていると言ってもいいかもしれない。
ちなみに "正しい妥協" と "間違った妥協" については、1967年のHBRに掲載されたドラッカーの 意思決定の秘訣 にも書かれている。自分は最近同僚氏に教えてもらって読んだ。半世紀前なのに普遍的な内容ですごい。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というが、自分は完全に愚者側やんけとチョット凹んでしまっていた。
けどこの言葉は「愚者は経験 (自分の失敗) から学び、賢者は歴史 (他人の失敗) から学ぶ」ということで、学習よりも自分の経験が先にくることを否定するものではないらしい。どっちが先でもいいので、本を読み人の話を聞き、たくさん疑似体験することを意識すればいいってことで頑張ろう。