誰かから方針を共有された時、なんだか納得できなくてモヤッとすることがある。そういう時に共有した側もされた側も不幸にならないためのお作法的な動き方があると思っていて、雑にまとめておきたい。
1. 初手でファイティングポーズを取らない
- 納得できないこと ≒ 背景がわからないことに対する不快感はすごくて、つい"強い"言葉を使ってしまいがち
- 相手も人間なので、そういった態度や口調は鏡のように反射してくる。そうすると物事を前に進めにくくなってしまう
- 一見して不合理な方針だと感じたとしても、その裏にはそれなりに込み入った背景がありタフな議論が積み重ねられていることも多い
- まずは深呼吸して初手でファイティングポーズを取りそうになるのを抑えて、「取りまとめありがとう」って感じで相手へのリスペクトを示すとよい
2. 何に納得できないか深掘りする
- 納得できない時、意外と自分でも何が問題なのかはっきりとわかってないことも多い
- 内容の問題なのか、伝え方の問題なのか。考え方が違うと思ったら意外と情報が揃っていないだけかもしれない
- "なんかモヤモヤする"くらいで止まらず、何が引っかかってるかを自分の中で明確にするのが大事
3. 自分がどうしてほしいかを明確にする
- 納得できないとして、じゃあ自分はどうしてほしいのか、どうなったらいいと思っているのかを考えよう。撤回してほしいのか、説明をもっと丁寧にしてほしいのか
- 「自分以外の誰か/チーム/業界」ではなく、「自分」がどうしてほしいかを明確にするのが大事
- 他人の意見を代弁しているかのように自分の意見を語るのではなく、自分自身がどうしてほしいかを明確にすること
4. 全員が納得する状態がありえる話なのか考える
- 合議で満場一致で全てを決められることばかりではないことを理解しよう
- 全員が納得できる状態というのはそもそもありえなくて、どこかで意思決定者が決断すべきこともある。たとえば組織のリモート/出社の方針変更とか、目標設定/評価制度のアップデートとか
- そこを勘違いして"納得感警察"になると何も進まないし不幸になるので、一度落ち着いて「全員が納得するというのがありえる話なのか」を考えてみるとよい
5. 直接フィードバックを伝える
- timesチャネルでぼやいたりしても何も変わらない。別にやっちゃダメとは言わないけれど、よい方向に変えていきたいならできるだけ一次情報にあたって直接話す方がいい
- 共有してくれた人と話して、意思決定者が別でいるならその人とも話すといい。率直で真摯なフィードバックならきっと耳を傾けてくれる。ただし、フィードバックは伝えつつもそのとおりになるとは期待しないこと
- 「どうせ変わらないからフィードバックしない」みたいなスタンスも悪くはない。その場合には割り切って方針に従うのがいいと思う。プロとして────
6. 進め方のフィードバックは分ける
- そもそも共有前に相談してくれよとか、前提の進め方みたいな改善の話は別でする方がよい
- このへんは伝えるのもなかなか難しかったりするので、自分のレポートラインの上長に頼ってもいいと思う
- 共有した人や意思決定した人、そのマネージャーを巻き込んで現状の考えを聞いたうえで、課題認識があるのであれば改善策を出してもらうことを要求してもいい
イメージしやすいのは経営やマネジメントレイヤーから共有される方針だろうけれど、チーム内でコードレビューの方針を提案される時なども同じ。
納得できなくてぐぬぬ...となった時にこういうお作法を繰り返すと、自分が意思決定や共有をする側になった時のイメージトレーニングにもなるのでオススメ。
ざっと書いてみると、意外と 4. 全員が納得する状態がありえる話なのか考える
が大事だと思う。銀の弾丸はなく、皆が納得する答えも実はないことがある。
意思決定を何度も積み重ねている人はわかると思うが、そういった全員が納得できない意思決定をするのはめちゃくちゃエネルギーがいる。だからといって甘く接して忖度しすぎるのもよくないが、共有される側は最大限の想像力をもって相手へのリスペクトを忘れずに接しよう。もちろん共有する側も納得してもらう工夫は必須。どちらかではなく両者がお互いに歩み寄るといい。
一方で、こんなことは書きつつも、めちゃくちゃ感情的に「ふざけんじゃねえ、"俺"が不快だ、かかってこい」って感じで食ってかかっていく人も個人的には好きではある。そういう人は 3. 自分がどうしてほしいかを明確にする
と 5. 直接フィードバックを伝える
が自然と満たせているからかもしれない。最近見ないタイプなので貴重である。