Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

組織における透明性の要素分解

「透明性が大事」「透明性を高めるべき」という声をよく聞くが、意外と"透明性が高い"という状態が何なのか人によって認識が違うことも多い気がする。

認識をある程度揃えておかないと、透明性だか何なのかよくわからないものを過剰に追い求めて疲弊してしまいがちなので雑にまとめておきたい。

透明性とは何か、なぜ必要か

  • 目的は事業の成長。成長を安定させスピードを上げていくには、組織が自走できる状態を作るべきという前提
  • 組織が自走できる状態を作るには、"情報"と"価値観"を揃えることが必要条件
  • 特に"情報"を揃えやすくすることを「透明性を上げる」と表現しているという理解
  • 情報が揃っていないと正解に近い意思決定を素早く行えないだけでなく、組織内の不和を生みやすいのでとても重要

透明性の要素分解

組織の"透明性"を形作る要素は次の4つだと考えている。

1. 公開されていること

  • 情報が公開されていないと何もわからない
  • デフォルトが公開、例外が非公開というスタンスが統一され、情報への扉が開かれていることが大事
  • 非公開にすべき情報が定義されていることも重要
    • たとえば、採用候補者の情報やユーザーの個人情報などは公開しないといった感じ
  • 公開できない / しにくいと感じる場合にはそれ自体を問題として解決する
    • たとえば「完成度の期待があってない状態で過剰に指摘を受けることを恐れてしまう」とか

2. アクセスしやすいこと

  • 公開されていても見てもらえなければ意味がない
  • 情報の置き場所を明確にして構造化し、どこに何があるかわかる状態を作っておく必要がある
  • 自分の経験上、理想的な整理をし続けるのはかなり難しいので、ある程度は個々人の検索スキルの向上でもカバーするべきだと思う
    • 最近は Notion AI なども出てきて、そこまで構造化されていなくてもアクセスできる状態を作りやすい

3. 理解しやすいこと

  • 見てもらえても吸収効率が悪いと見てもらえなくなり形骸化する
  • 理解してもらうように情報を整理するのは公開側の責務
  • 具体的には、ストックとフローの概念を理解してドキュメントを作るとか
  • ドキュメントテンプレートを用意して一定の質を担保するという工夫もできる

4. インプットの場があること

  • 情報は見てもらえないと意味がない
  • わかりやすい情報がアクセスしやすい場所に公開されていたとしても、ある程度のインプットの設計が大事
  • ただ周知するだけでは足りないことの方が多いので、何度も周知する、直接説明する、要点をまとめて伝えるといった工夫も必要

自分の所属している組織ではどうか

スコープを絞って各要素別に自己採点してみるといい。たとえば、開発のマイルストーンの情報はどうかを考えてみる。

  1. 公開されていること : ◯
    • 内容や周知方法に意見はあるとは思うが、公開はできている
  2. アクセスしやすいこと : △
    • 複数のドキュメントにまたがっていたりするし、常に見える場にも置けていないので工夫の余地は大きい
  3. 理解しやすいこと : △
    • やることと現状は理解できても、その背景まで皆が正しくりかいできるかというとちょっと難しいかも
  4. インプットの場があること : △
    • 月1の開発の定例で話してはいるものの、いくつかのトピックに絞っているので全体感を把握しづらいと思う

あくまで一例だが、自分の要素分解の定義だとまだ透明性を担保できているとは言えないと評価できる。

透明性がある/ない、高い/低い ではなく、要素分解して点数付けできるくらいにすると今の組織で何をすべきかが見えやすくなるんじゃなかろうか。

Appendix

透明性については、次の記事がとてもよいのでおすすめ。