Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

具体例を出すと主題が伝わりづらくなる

何かを説明する時に具体例を出すと主題が伝わりづらくなってしまう現象について雑に書いておきたい。

具体例によって読み手/聞き手がイメージしやすくなり理解を深められる一方で、次のようなことが起きる。

  1. 一例を全てのように捉えられる
  2. 主題ではなく例示に注目される

1は、あくまで主題をわかりやすくするための補足としてひとつの例を上げただけなのにそのケースのこと"のみ"を言っていると捉えられるという話。抽象的な主題を頭に残したまま具体例を具体例として捉えて理解するのは難しいことなのだ。

2は、読み手/聞き手が理解しやすい具体例の内容に引っ張られてしまうという話。説明を補足する具体例というのはわかりやすい分、頭がそこにフォーカスしてしまいがち。しっくりくる例ではないことが原因ということもあるが、具体的な話には突っ込みやすいのでそっちに引き寄せられてしまうのだ。

じゃあ伝える側はどう工夫すればいいかというと、一定そういうもんだと割り切るのがいいと思う。文章は全て読まれないし、内容は正しく解釈されない。どんなに「あくまで一例ではあるが」のように書いても伝わらない時は伝わらない。

その上で、「これは例であって伝えたいのはこういう話だよ」と何度も繰り返したり、ある程度網羅できるくらいいくつかの例を出したりするといった工夫はできると思う。ちょっと冗長になるので自分は好きではないけれど。

あとは、いっそ例を出さないで抽象的なまま理解してもらうという手もある。いま書いてるこの文章は具体例を出していないので正直わかりづらいと思う。具体的にイメージできる人にとっては「わかる…」と感じるかもしれないけれど、何の話か全くわからないって人もいると思う。まあそれでいいんじゃないかな。ターゲットを想定して具体度合いを調整しよう。逆に、読み手/聞き手のイメージを誘導するのに具体例を使うのはとても有効だと思う。

めちゃくちゃ余談だが、最近息子が「たとえば」という言葉を覚えた。ことあるごとに「たとえばね」と使って話してくるのが非常に愛らしい。前に話していた主題と何のつながりもないと感じることもあるけれど、彼の中ではつながっているのだろう。まあ何でもいいやという気持ちでおだやかに話を聞いている。こういう気持ちを大切にしたい。