何かの共有や相談をする時に、文章の表現や伝えるタイミング、伝え方や伝える順番などがとても"上手い"と感じる人がたまにいる。
逆に下手な人もいて、そういう人を見ると"もったいない"という気持ちになる。そういう人は伝え方で損をしてしまっているだけで、内容についてはかなりよく考えて準備もしていることが多いからである。上手い人と下手な人の違いはわりと暗黙知になりがちなので、何が違うかを考えながら雑に書きなぐっておきたい。
文章のテクニックや声の抑揚、表情といった細かい要素はあるのだけれど、一番の違いはコミュニケーションをとる時のシナリオをどれだけ想定できているかだと思う。イメージとしては将棋やチェスで相手の手を読むのに近い。
「この話はSlackで伝えたら微妙なニュアンスが伝わらなそうだから直接話そう」とか「チームの定例で話すよりも1対1で直接説明した方がいいかもな」とか、それくらいのレベルのシナリオは誰しもが考えると思う。上手な人はそこからさらに細かくシナリオを立てているように見える。
「こういう伝え方をしたらたぶんこういう反応が来るからそのへんの内容も盛り込んで最初から伝えよう」とか「自分よりもこの人からこういうふうに伝えてもらって、たぶんその場でわからない疑問とか出るから自分が後で補足しよう」とか、そういう複数に分岐したシナリオを頭の中で色々想定して、いざコミュニケーションを取る時はもう半分答え合わせみたいな感じなのではなかろうか。
相手の持つ知識や情報を見極めた上で、感情や思考を何手か先まで読んでコミュニケーションプランを考えて取捨選択してるという話だと思うが、これができるのはセンスなのだろうか。伝える人、伝える相手、タイミング、伝える場などいくつか要素があるけれど、言葉の選び方は正直センスじゃないかと思っている。
センスは知識と経験によってある程度までは磨くことができるので、まずはシナリオを立ててからコミュニケーションをとる癖をつけるのが重要なのかもしれない。簡単なところだと、何かを相談する時に相手とのやりとりの数を減らすことを考えて、「こうきたらこう」という想定と検証を積み重ねていくと、だんだんと身に染み付いて"上手い"人になっていくのではないかと思う。