Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

元アニメ制作進行の同僚Project Managerとの雑談

この記事はSHIROBAKO Advent Calendar 2020 25日目の記事です。

実は今所属している会社にはアニメ制作進行をやっていた経験があるProject Managerがいる。彼の視野の広さ、進行の管理能力にはいつも感嘆している。

プロジェクトが並行で複数走り、Product Managerやエンジニア、デザイナー、法務にMarketing担当、時には経営陣まで巻き込んでリリースに向けて適切なコミュニケーションを取って進めてくれている。つまり宮森である。

そんなProject Managerの宮森と雑談した時の話を雑にまとめてみようと思う*1

宮森ですね!

「なんで新卒でアニメ制作会社に入ったんです?」
「アニメを作りたかったからですね」
「なるほど、宮森ですね!」

最初の『ねぇよ』話

「SHIROBAKOって、たしか『あるある』が50%、『こんなだったらいいな』が20%、『ねぇよ』が10%、『エッ?!』が10%とかで構成されてるというのを聞いたことがあるんですが実際どうなんです?」
「だいぶあるあるですよ。50~60%くらいかな」
「おーちなみに『ねぇよ』ってのはどういうところですか?」
「朝会にみんなちゃんといるとか朝会をやってることはないですね」
「そこ?!」

昼夜逆転

「そもそも朝から稼働しないし」
「なるほど、どういう生活リズムなんですか?」
「昼夜逆転してて、出社時間は決まってなかったです。何時に行ってもいい。時間は業界的にはルーズ。IT業界より全然ルーズだと思います」
「エッ?!」

勤怠

「出社はするんですよね?」
「そうですね、夕方くらいに行って」
「エッ夕方?」
「はい、15時とか16時とか。退社は始発で帰るので6時とか」
「なるほど?」
「なので夕方とかに打ち合わせが入ることが多いですね。作打とかってあったじゃないですか」
「ロロが説明してたやつだ...!(小並感)」

クリエイターの生活リズム

「宮森の立場でその生活ってことは、他の人も全員そんな感じなんですか?」
「そうですね。クリエイターがそういうリズムなことが多いのでそれに合わせてるんですよ」
「クリエイターとの連携考えると、ちょっとずらした方がやりやすいんじゃないんですか?」
「そうですね、クリエイターはもうちょっと遅く稼働するのでこれでもずらしてます」
「エッ?!」

Project Managerとの比較

「今のProject Managerと比べてどっちが大変ですか?」
「体力的にはアニメ制作進行の方が全然キツイですね。今はもうできない」
「夕方行って朝帰るのがデフォルトなんですけど、忙しくなったら帰れないので、自分の担当話数の放送1ヶ月前とかは泊まり込みですね」
「なるほど」

調整の難しさ

「仕事の難しさ的にはどうなんです?自分の想像だと、アニメの方が関わる人が多くて調整むずいイメージあります」
「そうですね、調整大変です。しかも真っ当な社会人じゃない人ばっかりだから。平気で約束を守らないし」
「SHIROBAKOで自転車乗ってた人だ...!(感動)」

拉致して監禁

「でも約束守らなくてもやってもらわないと終わらないわけじゃないですか。どうするんですか?」
「最終的には実力行使ですね」
「実力行使とは...?」
「あー、スタジオに拉致して監禁みたいな感じです」
「SHIROBAKOの牢屋のメタファーで表現してたやつだ...!(感動2回目)」

瀬川さんですね!

「スタジオで描く人って結構少ないんですよ。フリーで複数本担当してる人たちは特に家で描くから」
「あー瀬川さんですね!」
「登場人物だけで話が通じてすごい」

心を無にして電話

「やりとりって基本メールですか?」
「電話ですね。みんなピッチ持っててそれで電話する感じです」
「たしかにみんなメール見なそうですもんね」
「この日に上がりますって言われて取りに行ったけど出てこなくて、家の前で心を無にして取り立てみたいに電話し続けたこともありました」
「中にはキチッとしてるなみたいな人もいるんですよね?」
「それはいますよ。瀬川さんタイプ。でもレアですよね」

FTPアップロード

「FTP使ってデータをアップロードする描写あるじゃないですか。あれはあんな感じなんですか?」
「そうですね。今思うともっといいやり方あると思いますね」
「履歴は残るんですか?」
「残らないですね。上書きすると消えちゃいます」
「こわい...!」

フォルダアップロードルール

「アップロードするフォルダとかは結構神経使いますね」
「ミスると消えちゃうからですか?」
「それもあるし、そのフォルダにアップロードしたものをベースに後続の作業が走るので」
「フォルダのルールはSHIROBAKOでも出てなかった話ですね(学び)」

レコーディング

「宮森が声優のレコーディングも行ってたじゃないですか。あれも行ってたんですか?」
「はい、ただ基本的には追い詰められてることが多いので全然余裕がなくてあんまり覚えてないですね」
「ヤバそう」

ナベPですね!

「入社して最初にやるのが制作進行だとして、そのあとのキャリアってどんな感じなんですか?」
「だいたいデスクをやるか、演出をやるかですね」
「宮森は2年目でデスクをやったわけですね。その次はどうなるんです?」
「プロデューサーですね」
「なるほど、ナベPですね!」
「他には、進行から設定制作、演出、監督というキャリアパスもあります」

宮森は優秀

「宮森はかなり優秀なんですね」
「いやめちゃくちゃ優秀ですよ。入社早々あんなに的確に指示飛ばして」
「あんな子いないですよね」
「とにかく物量が多いんですよね。300カットくらいあって、それぞれがどういうステータスかを管理してやりとりしないといけない」
「今のProject Managerの仕事でクリティカルパス整理するスキルとかにも活きてそうな話ですね」

進行管理Excel

「進行管理は全部Excelでやってましたね」
「フォーマットがあるんですか?」
「はい、その進行管理のファイルも全部FTPでアップロードして管理していて、そこからダウンロードして更新してました」
「今だとSpreadSheet使いたいですね...!」

平岡はレア

「平岡みたいな斜に構えたやりにくい人もいるんですか?」
「うーん、あれはレアだと思いますね。結構みんな将来やりたいことがあって、だから今の制作進行で経験積んでるって人が多かったですね」
「それは意外ですね。社に1人くらいはああいう闇落ちいるのかと思ってました」

後続作業を意識する

「今のProject Managerの仕事に活きてる経験ってあります?」
「後続の作業を意識するところは培われたかもしれないですね」
「たしかに。ひとつの修正でどこに影響出るか正確に把握して連絡してくれてますよね」
「クリエイターの方って結構ベテランが多いんですよ。皆余裕ないこともあって、ちょっとの連携ミスでかなり怒られたりするんですよね」
「新卒でそんな環境で揉まれたらめちゃくちゃ強くなるか潰れるかどちらかですよね」

ずらせないリリース

「今と違ってリリースをずらしたりできないですもんね」
「間に合わないと億単位の賠償になりますからね」
「エッ!経験ありますか?」
「さすがにないです」

あの時より大変なことはない

「SHIROBAKOだとすごい制作進行が頼られてる感じで描かれてますよね」
「実際はそんな感じじゃないんですか?」
「担当話数のことを一番わかってるのが制作進行なんでハブになるのは間違いないんですけど、アニメ好きっていう情熱だけで入った人も多いので全員能力値が高いわけではないんですよ」
「めちゃくちゃ高度な能力を求められますよね。その時と比べると今のProject Managerの仕事楽じゃないですか?」
「まああの時より大変なことはないですね」
「今の会社にくる前にもゲーム会社とかも経験してるじゃないですか。全ての経験をひっくるめて考えるとどうですか?」
「制作進行が一番大変ですね」

最後の『ねぇよ』話

「他に何か『ねぇよ』みたいな話ありますか?」
「職場にあんなに女性はいなかったです」
「なるほど」


落ち着いたらまた松亭行って白子ポン酢食いたいです。それでは、今年もAdvent Calendarありがとうございました!

*1:十数年前の彼の新卒の頃の一社の話なので今は状況が少し変わっているとは思います。スタジオによっても状況はそれぞれ違うかもしれません