ワールドトリガー247話にて、ヒュースが若村に話した言葉が非常によかった。
"刻むんだ"
目の前の1段を登るために必要な要素を
1段の中でさらに刻んで
自分が登れる小さいステップを作るんだ
その行動を努力と呼ぶ
痺れる~~~。この"刻む"というのは目標達成のための大事な考え方なのはもちろん、タスクを進める時にも同じように"刻む"技術が必要。自分もうまくできないことがあるので、雑に考えを書いておきたい。
仕事において、ゴールまでの道筋を刻んで小さくして進めるのはとても重要。進み具合をトラッキングできるし、刻むことでチームで仕事をしやすくなる。いわゆるジュニア、ミドル、シニアの違いは「どれくらい抽象的で大きいことを刻んで進められるか」の差と言ってもいいかもしれない。
このゴールを"刻む"技術はどうすれば身につくのだろうか。経験によって全体を把握する力がついた結果できるようになるというのも一定あると思う。しかし、できる人は初めて取り組むことでも着実に刻んで進められている。彼らの動きを見てみると、次の3つを刻んでいるように見える。
1. 期間を刻む
- 今週中に終わらせようと決めて時間もあったはずなのに、なかなか最初の一歩も踏み出せずに結局手を付けたのが最終日になったことはないだろうか。これは期限を刻めていないせい
- 来週中くらいの期限があった時、最初の期限を決めて刻んでいる。日にちではなく日時で決める
- 自分の中だけで決めていることもあれば、他者を約束をして強制力を効かせていることもある
2. 粒度を刻む
- 金曜の夕方には溢れるやる気に満ちあふれて朝から活動しようと考えていたのに、早起きはできないばかりか土日全部何もせず過ごしたことはないだろうか。これは粒度を刻めていないせい
- できるだけ細かくタスクを刻んで、物によってはただの"作業"レベルにする。そうすることで最初に取り掛かるハードルも下げられる
- Pull Request を細かくするとかもこれ
- この粒度の刻み方には一定のパターンがある。たとえば、観察、課題の整理、解決策の検討、決定軸の整理みたいな流れとか。パターンを知ることでどう刻めばいいか見当をつけやすくなる
3. 完成度を刻む
- 「完璧に仕上げるぞ」と意気込んで、変に自分の中でハードルが上がってしまい逆に何も手がつかない事態になったことはないだろうか。これは完成度を刻めていないせい
- いきなり100点を目指さず、最初の30点と60点くらいを目指すといった感じで計画する
- 何かを読み込んで理解するタスクであれば、「まず2時間ざっと読んでわからないことをまとめる」みたいな動きをするとか
- プロジェクト初期の開発見積もりとかも同じ。最初は粗く全体像を把握するように完成度を刻んでいる
ざっと書き出してみると、1の期間や3の完成度を刻むのはわりとやりやすいと思う。2の粒度を刻むのは慣れないと難しいかもしれない。
1人で刻むのは難しくても、誰かと相談しながらだとわりとやりやすくなったりする。マネージャーはメンバーが持っているタスクを"刻む"ためのフォローをするのが大事なのかもしれない。逆にメンバーの立場では1on1などで「どう刻めばいいか」という相談をするといいと思う。日々のタスクの刻み方はもちろん、自分の力量不足を課題に感じている時にどういうステップを刻んで変化していけばいいかなども話すといい。会社ごとのキャリアラダーやコンピテンシーマトリクスがあるなら、それに沿って考えると整理しやすいかもしれない。
自分は1年先のプロダクトや組織体制を描いて実現に向けて遂行するみたいなことに取り組んでいるが、こういう抽象度の意思決定までのステップを適切に刻めていないと感じる。自分の力不足に少し落ち込むことも多いけれど、もっと社内のCXOや社外の有識者にスキルやタスクをどう"刻んで"いくのがいいかを相談するといいのかもしれない。
最後に、冒頭の"刻む"話の後のヒュースの言葉を記載して締めることにする。ところで、飛び抜けて台詞が最高な漫画ってなんで発売頻度が低いんだろうか。
『自転車に乗れる』 という事実が示すのは
おまえは元々できなかったことが訓練次第でできるようになる
ということだ
別に自転車じゃなくても『箸を上手く使える』でもなんでもいい
『できるようになった』という 無数の事実を忘れるな
そして自分に『できる』 高さになるまで1段1段を 刻んでいけば
必ず今より強くなれる
そしてそれがおまえの自信に変わるんだ