Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

登壇前の前座の必要性について

先日DroidKaigiで登壇したのだが、緊張して胃がキリキリしていた。人前で話すのは、何度やってもなかなか慣れるものではない。

中でも緊張のピークは、自分のセッションの直前の数分である。

めちゃくちゃ静かなのだ。緊張が張り詰めているのだ。この状態で話し始めたらどう考えても最初から最後まで空気がヤバくなる、そんな予感がするのだ。

どうしようかと思っていたところへ、主催のmhidakaさんが「イェーイ!!!」と言いながら入ってきて、2人でちょっとした小噺をすることになった。「いやぁ、iOSの審査大変だったね」「ほんとですよ。なんで1万円も払ってこんな目に合わないといかんのかって話ですよ」などと適当に話しているうちに、会場内の空気が和らいでいくのを感じた。とてもとても感謝している。

思うに、登壇の空気感というのは登壇前の方が作りやすいのだ。スライドの中でも緩急をつけたりちょっとした笑いポイントを入れたりしている人は多いと思うが、最初に固まった空気を登壇中にほぐしていくのはなかなか難しい。盛り上がるはずのポイントで反応がなくて焦った経験はないだろうか?観客も別に盛り上がってないわけではないのだ。その場の空気が反応しにくくしているのである。

例えるなら、お笑いのようなものだ。どんなに面白い芸人さんであっても、「今日のお客さんは固かったねー」と後で振り返ることがあるらしい。盛り上がるには空気を作る必要がある。最初に場を温めておかないと観客も反応しづらい。お笑いの前座が事前にテンションをあげて観客を賑わせ空気をほぐすように、登壇前にもちょっとした前座があった方がいいのではないか。DroidKaigi中にもgfxさんは司会としてちょっとした話をして盛り上げていたらしい。そういうのが登壇前にあると空気が変わるのだ。

Techカンファレンスでそんなの求めてねえんだよ、ただただしっかりした知見を黙々と吸えればいいんだという人もいると思う。正論である。お笑いという例が悪かったかもしれない。前座とまで行かなくとも、静かな時間にちょっとした音楽をかけたりするだけでも違うと思う。

何が言いたいかというと、緊張した空気を登壇中にほぐしていくのは難しいということだ。話を聞く側の立場だと内容が重要であって空気は関係ないように思えるかもしれないが、登壇者からすると場の温かさは話しやすさに大きく影響するのでめちゃくちゃ重要である。登壇中の緊張を和らげるには、登壇直前の時間にちょっとしたコミュニケーションをとって工夫する方がいいのかもしれない。

自分は発表中カミカミだったし話すのも上手くないので本質的にはスキルを上げていこうなという話はもちろんある。それはそれとして、登壇中より登壇前に空気を変えるほうが楽だよねという話。もちろん、自分でやるにしても別の人がやるにしても個人の属性に依存するのでかなり難しいとは思うのだけれどね。現実問題として登壇者以外の誰かに前座をやってもらうのはハードル高すぎるとは思うけど、まぁ音楽かけたり登壇者本人が少し小話をしたりするだけでだいぶリラックスできると思う。

話は逸れるが、最近バーチャルユーチューバーの輝夜月にハマってしまった。自分でもまさかと思ったがハマってしまった。バーチャルユーチューバーは最初の挨拶のルーティーンが決まっている。輝夜月の場合は「おはよおおおおおおおおお!!!!」だ。こういう最初のルーティーンで「始まったな」という空気を作っているのは本当にすごいと思う。こういうのはその人の性格に依存するので、自分が登壇で真似をしたら爆死する可能性が99%なのだけれども、学ぶべきところがあるなと思った。