人に相談するのは慣れないとむずかしい。何がむずかしいかというと、「いつどうなったら聞けばよいか」というトリガが見いだせないことかもしれない。
「もう少し自分で調べて/考えてみよう」と思って粘りすぎて時間がかかってしまうこともあるし、「早く聞いて進めたほうがいいよな」と思って動いてみたらめちゃくちゃ初歩的な話で申し訳ない気持ちになったりすることもある。
この「自分で調べる」と「人に聞く」の境界の判断をどうすればいいのか、いくつかやり方はある気がするので雑に書いてみることにする。
1. ルールを決める
- そもそも「自分で調べる」と「人に聞く」を渦中のニンゲンが見極めること自体がかなりむずかしい
- たとえば「20分調べてわからなかったら聞く」といった一定のルールを決めて境界を作ることでやりやすくなる
- 「何回でも聞いていい」とか、「聞かずに遅くなるより聞いてしまってほしい」といったスタンスの共通認識を揃えるというのもできるとなおよし
- この設計はマネージャーやメンターの責務でもあるので最大限頼って相談して決めるとよい
2. タイミングを作る
- 「20分調べてわからなかったら聞く」みたいなルールがあっても、相手に気をつかってしまったりして聞きにくいことはある
- チェックポイントの日を決めたり、毎日の朝会を設定したりして、何もしなくても強制的にやってくる "聞ける場" を設計するとよい
- タスクにもよるが、軌道に乗るまでは1日に1~2回タイミングを作っておけば、そんなにドツボにハマって時間を浪費することはなくなると思う
3. 聞き方のフォーマットを増やす
- そろそろ聞いたほうがいいなと感じても踏み出しにくいのは、「何をどう聞いたらいいかわからないから」というのもある
- そういう場合には、聞く時のフォーマットを自分の中で決めておくと楽になるかもしれない
- たとえば何がなんだかまったくわからない時は、「全くわからない」、「どこからキャッチアップすればいいですか?」、「とりあえずこれは全部読めみたいな本や資料はありますか?」、「社内の詳しい人は誰ですか?」とか
- 何か問題が起きて前に進められない時は、「こうしたいんだけどこうなっている」という事実と、仮説と切り分けを伝えた上で、何か他に見落としているポイントはないかとか
- どういうスタンスで聞いてほしいかを
壁打ちに付き合ってほしい、一緒に解決してほしい、ヒントがほしい、見落としがないかレビューしてほしい、決めかねていて意見がほしいみたいな感じでラベリングしてもいいかもしれない
ざっと書いていて思ったが、境界線というよりは最初に抑えるべき合意が大事なのかもしれない。
以下3つくらいを抑えた上で、「わからなかったらすぐ聞くのでさすがにもうちょい自分で調べてよと思ったら率直に言ってください」みたいな感じで伝えておくとあんまり悩むことなくなるんじゃないかな。
- 何か詰まったら誰に頼るべきか
- 何をキャッチアップするべきか
- 定期的なチェックポイントはいつにするか
あとは、昨今AIの発展が凄まじいので今は "自分で調べる" で粘る時間を少し長めにとってみるほうがバランスが取れるかもしれない。
聞く側がどう工夫できるかという観点で書いてみたが、こういうのは双方向の話なのでうまくいかなかったとしても過度に自分を責める必要はない。
特にマネージャーやメンターはこういう状況を作らない設計をするのも責務のひとつだと思う。とはいえ、他人に工夫してもらうよりも自分がどう工夫するかを考えたほうがコントローラブルだし楽なので、まずは自分でどう "境界" を見極めやすくするかを考えてみるのがいいと思う。