息子が1歳になったがまだ言葉を話し出す気配がない。本当にこいつがペラペラと話して「何これなぜなぜ」と質問攻撃しだすんだろうか。全くもって想像がつかない。
質問といえば、質問に対して相手の聞きたい答えをキチンと回答するのって実はかなり難易度が高いと思っていて、その話を書いておきたい。
「質問をよく聞き、文字面だけではなく相手が何を聞きたいのか想像して確かめた上で回答すればいいだけでしょ」という人もいるかもしれない。正しい!しかしそれができる人は実は少ない。普段はそういう振る舞いができていても、相手から非難されているような後ろめたい気持ちになってしまった時など、感情や緊張感に左右されてうまく答えられなかったという経験がある人はわりといるんじゃないだろうか。
例を出そう。校則で義務付けられた肩掛けカバンに対して、ある生徒が「肩掛けカバンだと片方の肩に重さが偏って姿勢が悪くなりそうで心配です。リュックの利用を検討していただけませんか?」と意見を言ったとする。
それに対して先生が「それは校則で定められているからできない」と答えた場合、それは質問に正しく答えていない。この生徒は「検討してもらえないか」と聞いているのであって、「利用させてもらえないか」と聞いているわけではない。現状校則で定められているからといって、検討すらできない理由にはならない。「持ち方を工夫してほしい」とか「今まで問題になったケースはない」といった回答も同様に、質問に答えていない。
この場合、聞きたいのは「検討してもらえるのか」「仮にすでに検討してもらえているとしたらどういう状況なのか」「これから検討してもらうとしたらどういう手順が必要なのか」「検討すらできないとしたらどういう理由があるのか」のような説明である。
「正直に言うと検討する余裕もない。今はちょっと忙しすぎる」という答えは一応質問に答えているかもしれないが、完全に答えているとは言えない。聞かれた先生が忙しいのは本当かもしれないが、生徒は「(あなたが) 検討してくれないか」と聞いているわけではない。何でもいいから何かしら方法はないかを聞きたいわけだ。自分が忙しいなら、他の選択肢なども何個か出して説明してあげるべきである。
この例は極端な話なので先生がクソやんで終わる話ではある。ただ、似たような話で質問に対して回答になってないケースは多々見かける。たぶん自分もちゃんと答えられてない時があると思う。
ひとつ工夫できるとすれば、質問に正しく答えられているか質問する方法がある。「校則を変える話になるから署名を集めるところからみたいな長い話になっちゃうけどいい?」と事前に聞くとか、答えた後に「質問の答えになってましたか?」と聞いてみるとかそういうの。カンファレンスの登壇者がしばしばよく使うようなフレーズでもある。
まだ「うあー」「にゃんにゃんにゃー」などとしか言わない息子が、いつか何かを質問してきた時のために自分も回答のスキルを磨いておかなければならない。