Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

率直な意見をぶつけてくれる人に敬意を払う

率直に思ったことを言ってくれる人は貴重である。貴重であるが故に、敬意をもって接しなければならない。

特に反対意見や耳の痛い感想はなかなか言えない人も多い。 たとえば何かをやるかどうかの相談をした時に、「そもそもやる意味あるんですか?」とか「全く賛成できないですね」とか「自分は絶対やりたくないです」とか。言い方は改善の余地があるかもしれないが、こういう意見をぶつけてくれる人は大事にした方がいい。

大事にするというのはどういうことかというと、意見を言ってくれたことに対してお礼を言う、誠実に向き合って返答する、伝え方に関してフィードバックをするといった具体的なアクションを起こすことである。当たり前と言えば当たり前なんだけど、実行できる人は意外と多くはない。

特にお礼を言うというのは意外とやれていなかったりする。性格にもよるとは思うが、率直に意見を言うのにはエネルギーがいる。相手に伝わるように強めの言葉を選ぶこともあるし、勇気も必要になる。そういう行動をとってくれたことに対して、感謝を示すべきだ。

言ってくれた後でDMでも何でもいいので「あの時は言ってくれてありがとう」「そういう姿勢はすごくありがたい」「これからもよろしくお願いします」といった言葉をかけるのがよい。そこまでするのはやりすぎだと思うかもしれないが、感謝は言わないと伝わらないことも多い。伝えて相手に逆にネガティブな感情を抱かせることもあるかもしれないと不安にもなるが、自分の経験だと杞憂でしかなかった。

意見をぶつけてくれた相手は、おそらく想像以上にエネルギーと勇気を使っている。それに対して敬意を払い、実際に行動を起こすだけの話である。嫁氏から「太った」と言われた時にこそ実践したい。

主語を個人にする

組織において、主語を"集団"にしだすとよくないと思っていて、その話を雑に書いておきたい。

たとえば納得しにくい決定事項があった時に、「これってどういう経緯で決まった話ですか?」と聞いてみると、「法務側の要請で...」みたいな話になったりすることがある。

似たような話として、「営業チームの意見として」とか「経営陣からの意向で」とかも同じ。こういう"集団"が何かを言っているみたいな表現が出てきたら注意した方がいい。"チーム"も"経営陣"も"会社"も、それ自体が意見を言ったりしない。意見を言うのはいつでも個人なのだ。それを明確にしないと、バイアスにかかってしまったり遠回りしてしまったりして、物事をよい方向に進めにくくなる。

主語が"集団"になると、とたんに個々人ではコントロールしにくいものだと勘違いしてしまう。そういうちょっとしたストレスが積み重なって、「あのチームは〜」とかなんだか他人事のような物言いが始まる。自分はこういう状態が嫌いなのだ。

"誰"の意見かを聞いてみると、実はチーム全体の総意ではなく1人の強い意見かもしれない。「会社の方針として」より「CEOの方針として」、「開発チームの強い要望で」より「エンジニアのAさんとBさんの強い要望で」のように、主語を個人にしてコミュニケーションを取った方が色々やりやすい気がする。

全宇宙人類生けとし生ける者みな全て主語を個人にしていこうな。

『問いかけの作法』がとてもよかった

fukabori.fm で話されていた『問いかけの作法』を読んだ。自分にとってはかなりよかったので、初めての感想文的なものを雑に書いておきたい。

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とにかくよかった。これまで自分もたくさんの会議や1on1、面談などを行い都度反省して工夫してきたが、それらの工夫がほぼ全て"体系化"されてまとめられていた。自分がやってきた/やっていることが6割くらい、残り4割は新しい発見として楽しく読めた。ハンターハンターで言うと、念の六性図くらい見事に体系化されていると感じた。

たとえば質問を投げかけた後に意見が出なそうだったらいくつか具体例を出してあげるフォローアップなども、『列挙法』という名づけをして解説してくれている。カイゼン・ジャーニーの中で紹介されている、意見を5段階で示すファイブフィンガーも、この本の中の『パラフレイズ』という手法と捉えられる。

やっていることに名づけがされると頭の中で整理されて活かしやすい。本に書いてあるので詳しい内容はここでは書かないが、『とらわれ』と『こだわり』、『フカボリ』と『ユサブリ』といった名づけでさまざまなケースをうまく抽象化して整理してくれている。

全体の構成もよいが、抽象と具体のバランスがとてもよい。fukabori.fmの中でも語られていたが、現場で実践しやすい形になっている。特に3章4章は"今"何かしらに課題を感じている人がすぐに使えるテクニックが満載である。

想像しやすい課題としては、MTG中に意見をうまく引き出せないといったものがありそうだが、この本のテーマである"問いかけ"は、MTG以外のさまざまな場で使えて応用が効くと思う。

例えば自分の場合だと以下のケースで色々と役立ちそうだなと感じた。

  • メンバーとの1on1での課題やキャリア指向のヒアリング
  • 他チームやマネージャー、CXOとの期待合わせ
  • 採用面談における対話、採用面接における見極め
  • 組織課題を抽出するグループワーク

何かをリードしたりファシリテートしたりするような立場ではなくても、こういう話を頭に入れておくと視野が広がるのでオススメである。

ガッと書いてきたが、褒めすぎたかもしれない。たぶん人によってはこんなに刺さらない気もする。テクニックに寄りすぎていると言う人もいるだろうし、『レトリック』の解説部分では気持ち悪さを感じる人もいるかもしれない。まあこういうのは全てを取り入れなければならないということではないので、よしなに取捨選択すればよいと思う。

自分がターゲットど真ん中だっただけかもしれないが、こんなに体系化してまとめられる安斎勇樹さんは本当にすごいと思ったし、それまでにどれだけの実践と探求の研鑽を積んできたのかを想像すると尊敬してしまうのだった。ハンターハンターで言うと、ピトーと闘うゴンのもとに駆けつけたときのキルアの心情に近いかもしれない。

いつか実際に話して"問いかけ"られてみたいものである。

あわせて読むとよさそう↓

note.com

議論を収束させるTips

何かを決めるゴールを設定した会議において難しいのは、議論を収束させていくフェーズである。

議論の抽象度の高さによって難易度は変わるが、収束させるにあたってここは抑えておくとよいみたいなTipsはあると思うので書き出してみる。

  • 決めることがゴールという認識を合わせる
    • そもそも決める場だという認識が揃っていないと収束させるのが難しい。会議のフォーマットに目的やゴールを明記しておくとよい
  • 最終的な決め方を決める
    • 最終決定者、時間、多数決などなんでもいいが、最後にどう決めるかを決めるのが大事。できれば議論が始まる前にやっておくと、議論中もそれを意識して進められるのでやりやすい
  • 決めるための材料の認識を合わせる
    • 判断軸とも言える。議論が何かうまくいかない時にはだいたいこのへんの認識が揃っていない。言葉に対する認識が揃っていないこともあるので齟齬をなくしておくの大事
  • 決めるための材料を今揃えられるかを確認する
    • 決められる材料が揃ってないのに話してこんでしまうことがある。これはよくない。そもそも決められる人がここにいるのかなど、今決められるんだっけと立ち止まってみた方がよい
  • 同じものを見ながら話す
    • 議論している内容をホワイトボードやdocsなどに書きながら、参加者の目線を揃えながら話すのが大事。論点をリアルタイムで整理するのが得意な人がいれば役割としてお願いするのがよい
  • タイムマネジメントをする
    • 決めるように時間配分を考え、決められるように進めていく必要がある。時間内に決まらないのであれば、途中で今回どこまで話して次のアクションをどうするか話すように切り替える方がよい

ざっと書いてみたが、何より大事なのはこれらを想定して適切な人と時間をおさえて事前に準備をしておくことだ。収束できるかどうかは議論が始まる前に決まっていると言ってもいい。

方針が浸透していない時のチェックリスト

チームの方針を伝えたはずなのにうまく伝わっていないということはよくある。そういう時、「前にも言いましたけど」みたいな話をしだすと不幸にしかならない。情報のやりとりは伝える側と伝えられる側双方の協力が不可欠だが、コントロールしやすいのは伝える側である。方針が浸透していない時に確認したいチェックリストを雑にまとめておく。

  • 理解してくれているか
    • 同じ言葉でも認識が違うことは多い
    • 特に方針はキャッチーな表現を使って抽象度が高いこともある
    • 具体も伝えて理解しているかどうかを確認すること
  • 納得してくれているか
    • 意義を感じていないと浸透しない
    • 説明する側が納得していることはもちろん、納得させられるまで話すこと
    • 方針の背景や議論の流れ、最終決定事項までアクセスしやすくして個々人が自律してキャッチアップできるようにしておくことも重要。いわゆる情報の透明性、フラットさ
    • どちらかに決めて進む必要があることも多いので、組織として「選んだ道を正解にする」「やっていき、のっていき」のような行動指針があるとやりやすい
  • 何度も伝えているか
    • 一回で浸透するわけがない
    • 説明する人が伝道師をやるか誰かにお願いして、浸透するまで言い続けること

人から相談を受ける時に気をつけること

誰かから相談を受けた時、後でよくなかったなと思うことがちょいちょいあるので雑に書いておく。 相談の種類や関係性にもよるので、たぶん違和感を覚える内容も含まれるとは思う。

  • 相手の話を聞く
    • 当たり前なんだけど、意外とできてないこともある
    • 自分の話を起点にしてはいけない。相手の話を聞くのが先で、自分の話は聞かれたらするくらいでいた方がいい
  • アドバイスが必要かどうかを見極める
    • 相談をされると解決のための話をしてしまいがちだが、そういう論理の話をしたいわけではないこともある
    • 例えば聞いてくれるだけで救われることもあるし、相談相手が感情的に怒ってくれることで自分が冷静になるみたいなこともある
    • 相手がアドバイスを求めているのか見極めた上で、アドバイスする場合にはバイアスをかけないように慎重に
  • 同調しすぎない
    • 共感と同調は違う。共感することは大事だけど、同調しすぎると相手の負の感情を増幅させることにもなる
    • 「つらかったね」はいいけど「そいつ最悪だね」はよくないみたいな感じ。まあ相談の内容にもよるけど、あんまりいい方向に進まないことが多い気がする
  • 終わり方に気を配る
    • どういう相談であれ、終わった後に相談しなければよかったという気持ちにさせないようにしたい
    • 相談内容は言語化しきれていないことも多いので、終わった後で「あんなことを言ってしまった」「相手にこう思われたかも」と不安になるかもしれない
    • 相談してくれたことに対して礼を言ったり、いつでもまた話しましょうと伝えたり、終わり際を大事に、少し過剰くらいに気を配った方がよい

これらは全てハンターハンターとバチェラーから学びました。

直接話す、すぐ話す

最近嫁氏とバチェラー4を見ていて思ったことを雑に書いておきたい。

第4話にて、ある女性が「バチェラーがこう言ってた」みたいな少し事実と異なる内容を他の女性陣に話したことで、バチェラーへの不信感が広がりだいぶ面倒なことになるという"事件"があった。

それに対しバチェラーがすぐに1人ずつ対話の時間を作り説明していたのを見て、結局これしかないよなあと思った。

種類や程度は違えど、組織においてこういうことはよく起こる。その時に重要なのは、関係する当人とすぐに直接話すことである。

例えば事業の優先順位に納得できないときに、説明を受けた者同士でああだこうだと話したりするよりも説明をした人に直接聞いた方がよい。

あるいは誰かの発言に棘を感じてモヤモヤした時は、本人に直接話して解消したほうがよい。

小さいところだと、Slackで「これ大丈夫かな」「どうなってるんだろ」みたいな懸念を書くときには関係しそうな人やグループに直接聞いたほうがよい。

ただ、これは個々人がそうしようと思ってもなかなか難しい話である。何か起きた時に直接話すには自分にも相手にもある程度のコミュニケーションスキルが必要だし、スタンスの違いによっては面倒くさいと捉えられがちだからである。

風通しのよさ、心理的安全性といった組織の状態によっても、直接すぐに話せるかどうかは変わってくる。「直接話す、すぐ話す」という行動自体を、行動指針で是とするような一定の方向性を決めておいたほうがいいのかもしれない。例えばdely社のバリューの1つであるHeart to Heartは、そういう話を含んでいると理解している。「直接すぐ話してみたら?」「〇〇さんに直接メンションしたらいいと思いますよ」みたいな会話が自然と出るような状態が作れるとやりやすい。

もちろん対人コミュニケーションでの解決に対して面倒くささを感じる人もいるとは思うが、自分の経験だと何だかんだ直接すぐ話すのが一番早いし楽なことが多かった。逆に推測だけで考えてしまったり、すぐに聞かずに溜め込んだりしたときの方が、振り返ってみるとより面倒くさい状況になっていたように思う。

自分に不信を抱いている複数人の女性とすぐに対話するというフォローをしたバチェラーはすげえよ。ハンターハンターと同じくらい学びのあるコンテンツである。