Konifar's ZATSU

私はのび太の味方じゃないわ、悪の敵よ

大人の不満の処理方法

大人になるにつれて、感情的に不快な気持ちをぶつける人が少なくなる。直接的な本音のかわりに、建前が増える。余裕がない人は、それが嫌味や苛立ちといった形で表面に漏れ出てしまったりもする。皆が見えるSNSへのボヤキとかも同じ。正直にいってめんどくさい。何よりも消耗する話だ。

例えば、仕事でなんとなく疎外感を感じてしまったり、方針に納得できなかったりした時、不満はあるけど何も言わないあるいは「まあいいですけど」といった言葉で不満な気持ちだけをそれとなく表明するみたいな。公私関係なくよくある話だと思う。

モヤモヤとした気持ちを消化する方法が見つからない時はとても辛いものだ。大人になると「てめえムカつくんだよ」みたいな感じで適当にふわっと感情をぶつけて消化できないケースが増えるのかもしれない。

自分の感情を理性的かつ正確に言葉で伝えられる能力があればいいというケースもある。自分の気持ちを深堀りして、何が気に食わないかを相手にもわかるように説明するのだ。ただ、この方法はうまく実践するのが難しい。深堀りした結果、自分の信条だったりプライドだったり他者に言葉で簡潔に説明するのが困難な領域に達することが多いからだ。相手も理性的であることが前提であるという点も難しさの一つになっている。

自分の感情をうまく飲み込みきれず、まわりに負の感情を伝播させたり潰れたりしてしまうよりかは、子どものようにぶつけてくれればいいのにと思うこともある。別にみっともないとも思わない。大人であっても、自分の感情を理性的に伝えるのはかなり難しいことなのだ。理性的であろうとして刺々しい言葉を吐いてしまうよりは、「うまく言葉で説明できないけどすごくイライラするし嫌な気持ちです」みたいな感じでストレートにぶつけてくれる人の方が好きだ。それもそれで、なかなか勇気がいるし難しいことなのだけれど。

今年最後のアプリリリースとSHIROBAKO

これはSHIROBAKO Advent Calendar 2018最終日の記事である。

今年最後の少し大きめのアプリリリースを終え、『えくそだすっ!』最終話を完パケした後の杉江さんのような心持ちで家路についている。

いやー12話ほどではないにせよ正直なかなかひりつくスケジュールで 「綱渡りか…」 と呟く瀬川さんの姿が頭によぎったよね。

12月7日(金)にやるかどうかの会議があって、19日(水)にiOSアプリを申請するというスケジュールだったから、都合8日でデザイン、サーバーサイドの実装、アプリの実装、テストをやりきらなければならなかった。

「これ現実的に年末までに出せますかね?」
「現実的ではないですけど、まあ出せたら年末気分いいですよね」

などと話しながらも「正直厳しいなー」と思ったが、 変な話間に合わなかったらリリースしなければいいだけだし、ムサニよりはよっぽど楽だよなとも感じていた。杉江3日伝説には遠く及ばないが、こういうギリギリのテンションで仕事をするのは嫌いではない。実際、19話の回想シーンのような現場感があり、チームの雰囲気もよかったと思う。

雰囲気はよかったが、いま思い返してみると結構ピリピリしていた時もあった気がする。

デザイナー氏がすごい勢いで仕様とデザインをほぼ固めてくれた時、シャチョーとデザイナー氏の間で実装機能の目的の食い違いで議論になった。

平岡と円さんのような感情的な言い合いではなかったものの、「どんなユーザーのために作るのかという部分から考え直した方がいいのでは?」という話が出た時は、変な話 「ウォッ3話のあるぴんじゃん」 と思ったよね。最終的に、ユーザーからの声という定性データと実際の数字という定量データをもとに議論して、大きな変更をせずにそのまま行くことになった。

宮森のように場の空気を変えていい感じに軌道修正できたわけではない。正直に物を言いまわりを程よく巻き込める能力は、宮森の素晴らしい才能なのだ。

また、リリースできるか見極める最初のチェックポイントまでにサーバーサイドの開発が間に合わず翌日にリスケになってしまったこともあった。

その時、佐倉さんのように 「いいよー別に。待つのも仕事だからねー」と言える余裕が自分にはなく、思わず 「万策尽きた」 と言いそうになってしまった。あらゆる状況を想定して準備をし、常に心穏やかにまわりに接することができる能力は、佐倉さんの普段の努力によるものなのだ。

第二チェックポイントまでに何をどうするか決め、 「現場は生き物って言うからね。何時も何かが起きる。だから、今できることをやっておかないとね!」と言った宮森を見習って先にテストケースを作ったりデザインを完璧に仕上げたりすることに集中した。

「全部を一度には無理でもね、小さなことからコツコツやればいつか終わるよ」 というロロの台詞はいつでも正しく、最初は終わるか不安だった開発でもタスクを書き出して進めているといつの間にか終わりが見えてくるものだ。

開発終盤に差し掛かると、いくつかの仕様や修正を年内のリリースからは落とす判断をしたりもした。アニメ制作と違い、出したものをまた手直しして改善できるところがサービス開発のよさだなと思うと同時に リスケが許されないというプレッシャーの中で、合意を取りにくい芸術分野をあれだけうまくまとめた新卒2年目の宮森には尊敬の念を禁じ得ない。

そんなこんなでリリースしたアプリは、今のところ大きなバグもなくユーザーの皆さんからはポジティブな意見をいただいている。あとは、明日予約したリリース打ち上げのバルバッコアどんどんドーナツどーんと行く のみである。

ちなみにここまで色々書いてきたが、SHIROBAKOのコンテキストは社内の誰とも共有できていない。全て自分1人の頭の中で思い浮かべていただけである。

実は来年には本物のアニメ制作進行経験者が入社してくるので、一緒に最高の完パケ体験をするのを心待ちにしている。


今年もSHIROBAKO Advent Calendarお疲れ様でした。参加してくださった皆さま、ありがとうございました。

いつのまにか4年目を終え、トータルでは100記事を超えたと考えるとすごいことですね。年明けの松亭新年会でお会いしましょう。

開発タスクを決める思考整理のためのIssueテンプレート

開発タスクの決まり方は組織によって色々だろうけれど、いきなりポンとタスクを渡されて 「そもそもこれなんでやるんだっけ?」「他のタスクと比べて今やる意味あるんだっけ?」という気持ちになったことはないだろうか。工数かかるなーと思いながらよくよく課題を聞いてみたら、実はもっと簡単なやり方でスマートに解決できそうだったとか。

開発する時には、課題と解決策の納得感を持って進めたい。結果的にその解決策の筋がよかったとしてもだ。こういった意識を持っている開発者は意外と多い印象だが、チームで働く上でそのマインドを統一するのは意外と難しい。

そこで、開発タスクを決定する際の思考整理としてIssueテンプレートというものを用意してみたことがある。やろうとしているタスクに関して、一度このテンプレートに沿って埋めてみるのだ。書いている途中であれ?となるかもしれないし、書いたものを叩き台にして開発者からもっといい解決策を提案してもらえるかもしれない。アイデアを出す時にこれを強いるのはつらいかもしれないので、タスクを決める時の思考整理として使うとよい。

このIssueテンプレートがうまくいったか定量的には測っていないが、少なくとも自分の肌感では解決策だけ渡されて戸惑うといった経験は減ったように思うのでメモしておく。


解決したい課題

  • やることではなく、どういう問題を解決したいかを書いてください。

経緯

  • どういう経緯で話が出てきたかを書いてください。
  • 経緯を聞いてみたらそもそも課題が違った、ということを防ぎます。

やりたいこと

  • 解決策として何をやりたいかを書いてください。
  • 上で解決すべき課題が明確になっていれば、開発者からより良い解決策を提案できるかもしれません。

予測KPI

  • 結果を何の数字で判断するのかを書いてください。
  • どのくらいの効果が予想されるのかによって優先度も変わるので、定量的に書いてください。
  • 現状の数字がないものも、予測でいいので書いておいてください。

リリース希望日

  • 開発やデザインの都合は一旦無視して書いてしまって大丈夫です。
  • 希望日の理由があれば書いてください。
  • ASAPは優先度を判断できないのでダメです。

リスク

  • 数字が下がるなど、考えられるリスクがあれば書いておいてください。

イメージ

  • 手書きや他のアプリのキャプチャがあれば貼ってください。

参考リスト

  • データのURLや関連するIssueなどがあれば書いておいてください。

ステークホルダー

  • このIssueを知っておいてほしい人にメンションしてください。
  • 法務など、GitHubにいない人も書いておいてください。

オンラインコミュニケーションでの相手への心遣い

インターネッツでは毎日がエキサイティングである。これを見て、たしかに〜わかることもある〜と思った。

たぶん嫌な気持ちになることが何度もあって、ひとしきり考えてからちょっと尖った言葉を選んだのだろう。コミュ障かどうか、稚拙かどうかは置いておいて、たしかに「ちょっと言い方変えた方がいいのになー」と思う人はいるよね。そういう人とのコミュニケーションに慣れていないと、気をつかってしまったりイライラしたりしてちょっとめんどくさいよね。わかるよ。

これって言葉遣いの問題ではなく、オンラインコミュニケーションでの相手への心遣いの問題だと思ってる。要は「こういう言い方をしたら相手がこう受け取ってしまうかもな。もしかしたら嫌な気持ちになってしまうかもな」みたいな感じで、相手の性格や関係性、現在の状況を考慮した上で言葉を選ぶ方がいいよね、ということだ。wや顔文字も相手や状況によっては神経を逆撫でして嫌な気持ちにさせてしまうこともあるので注意が必要だ。

極論を言うと、全員友だちみたいな関係のチームなら別に適当に言葉を交わし合ってもそんなに問題ないんだよね。そういう時にこのツイートでいうビジネスマナーっぽい言い方をすると、逆にキツイ言い方に感じてしまうかもしれない。チームの心理的安全性が保たれるようにしておけば、言葉遣いについてはある程度気にする必要がなくなるのだろう。

そうはいってもオンラインコミュニケーションは難しい。いくら仲がいいと思っていても、ちょっとした行き違いで相手をつらい気持ちにさせてしまったりする。だからこそ、emojiをつかったり言い回しを工夫したりするわけだ。個人的にはそのへんの工夫にコストを払った方が仕事がスムーズに進みやすいと思っているので、コミュ障かどうかではなく単にチームで仕事ができる人かどうかの違いじゃないかと思う。

根本の発想が「オンラインでの相手への心遣い」だとすると、仕事を円滑に進めるという目的だけではなくツイートなど普段から第三者が嫌な気持ちにならないかあらゆる方向から考えられる余裕を持つ方がCoolだなと思った。自分への戒めとしよう。

"今日中"とはいつまでか

「今日中にお願い」と言われた仕事に対して、何時までと思い浮かべるだろうか。

そんな急な依頼を曖昧に投げる奴と仕事などしたくない、という人もいるだろうけど、いったんそこは目をつぶって考えてほしい。

もっと正確にいうと、依頼をうけて仕事を進めてみて 「うーん、今日中かあ〜まあ最悪○時までに終われば大丈夫かな〜」と頭に思い浮かべたその時刻についての話だ。

この思い浮かべる時刻は、育ってきた環境に依存すると思う。要は、どういう人や文化の中で働いてきたかによって思い浮かべる時刻は様々だということだ。

これは質問の仕方がちょっと悪かったけれど、まあまあバラけた結果となった。もちろん依頼の内容や緊急度、その人の仕事の進め方によっても異なるとは思う。しかし、今あるいは今までどんな環境で仕事をしてきたかがかなり影響するのではないかと思っている。

ちなみに自分の場合、今は22時を思い浮かべる。昔は翌朝9時を思い浮かべていた。個々の答えがいい悪いというわけではないが、同じ社内のメンバーでもこの認識の違いは起こりうるし、雑にSlackで問いかけてみても面白いかもしれないなと思った。こういう小さい認識の違いは早めに潰しておく方がいい。

もしかしたら、この質問を"今週中"に変えると、よりわかりやすい結果になるかもしれない。

ちなみに俺たちは "今日中"にiOSアプリをsubmitする。エル・プサィ・コングルゥ

鳥越氏のキャッシュレス言及記事を読んだ感想

タイトルのせいか批判の声が多いように感じた。周回遅れ感あるが、自分が読んだ率直な感想をまとめておきたい。

headlines.yahoo.co.jp

まず感じたのは、部分的に話を切り取ってまとめている可能性があるから何も言えないなということだ。タイトルにも文中にも"怒り"とあるけど、発言だけ見るとそんなに怒っているように感じない。むしろ、前段に"怒り"という単語をつけることによって、発言内容の本当の雰囲気が全くわからなくなるだけでなくむしろ読者にバイアスをかけているように感じた。もしかしたら「いやー変化が早くてついていくのに必死ですよハハハ」くらいのテンションだったかもしれない。

鳥越氏の肩を持つわけではないけれど、メディア自体も信用できないので、もっと真意や雰囲気が正しく伝わるようなインタビュー記事を出してほしいなと思った。

真実はわからないので、この内容が鳥越氏の本当に伝えたかったことを正しく記述していると仮定した上で読んでみたが、まあそういう考えも理解できるなーという印象だった。ちなみにこれは彼がどんな人格で過去にどんな発言をしてきたかというバイアスは一切排除して純粋に記事内の発言だけをそのまま読んだ印象である。

端的に言えば、現金とのメリットを比較した時に、キャッシュレス促進の動きはあんまり納得できないというものだった。わかる。俺も技術書典で同人誌売ったときはまだ現金が一番楽だなと思ったし、いまだにQR決済も読み取りめんどくさいと思ってるし、電池切れや何らかの問題で決済できないことに対する心配も頭の片隅にあったりする。

中国での体験もよくなかったね。WeChat payやアリペイを準備していかなかったら、逆に不自由を感じてイライラするだろうなと思った。

お釣り渡してもらった時に会話がある方がいいという話に関しては、東京で自分が生活していく分には理解できなかったけれど、もしかしたら過疎地域などでは高齢者のそういったコミュニケーションが非常に重要な役割を担っているのかもしれない。レジでやらんでもええやろ別の解決策あるんじゃないのとは思ったが、もう少し深堀りして聞いてみないと何もわからん。

もちろん現金にはメリットもある。現状日本で最も使える場所が多く信頼されている価値交換手段は現金だ。一方でSuicaの代わりにきっぷを買おうとは思わないし、高速道路を利用するときにはETCを使わず並んで現金のやり取りをしようとも思わない。

問題をどう解決して、どのような暮らしが待っているかは、実現しないとわからないことも多い。実際、自分はクレジットカードでの使いすぎが怖いと思っていたけれど、Kyashやマネーフォワードを利用することでほぼリアルタイムで利用額を把握できるようになったので今では何も心配していない。

キャッシュレスの話だけではなく、何かを改善する時には必ずメリット・デメリットがあり、その中で何を選択するかというプロセスの理解が重要になる。いろんな支払い方法が乱立して混乱するとか、電力供給止まった時にどうするのとか、過渡期は特に色々と不安点もあるよね。もちろんそういった問題もデメリットとして捉えた上で、他に解決策があるのか、それらを上回るメリットが本当にあるのかといったことを考えながら物事をよくしていくことに頭を使うわけだ。ただ、目的が伝わらないままにいつの間にか改革が進むと、なんでそんなことをしているのかと憤りを感じる人が出てくる。これは当たり前で、みんな違って、みんないい。

推し進めていっていつの間にかもう前の暮らしには戻れないくらい便利にするというやり方が多いし、その方がいいと思ってはいるんだけど、過渡期に困惑している層を馬鹿にするのはよくない。でかい声で反対してきたら「戦争だ」ってなるのはわかるが、「なんか急に変わっていって怖いよ…」という人に対しては、情弱や老害といった言葉で片付けるのではなくみんなで優しくフォローする方がいいんじゃないかなと思った。ブコメこわいよ。

繰り返しになるけれど、週刊ポストの記事自体を信用できていないのでこの話は全部推測からのイチ意見でしかない。タイトルに強めの"怒り"という言葉を使うなら、それ相応の内容にしてくれ。以上。

新人の正論を取り込む準備と心構え

最近新しく人が入ってきて、今まで手がつけられていなかった部分に対する正論をストレートにぶつけてきてくれて思わずにやけてしまった。

そう、新しい人には感じたことをそのまま言ってほしい。まだ自分が成果を出せるかわからないタイミングで正直に思ったことをぶつけるのはすごく勇気がいることだとは思うけれど、新しい旋風を巻き起こしてくれた方が嬉しいし、それをうまく取り込むのは既存メンバーの役割だと思っている。

正論をうまく取り込むには準備と心構えが必要だと思っていて、それをざっとまとめてみる。

  • 社内ブログやSlackチャネル、定例など意見を言いやすい場所を用意しておく
  • 感じたことは率直に言ってほしいと期待している役割などを伝えておく
  • 口だけみたいになるのでは、という不安はいったん気にしなくていいと伝えておく
  • 個人ではなく仕組みに対してという伝え方を意識してほしいと伝えておく
  • 言ってくれたら、まず素直に感謝を伝える
  • いろんな事情はあったとしても、なぜできないかの理由を先に説明して出鼻をくじかない
  • すぐに変えられるものはすぐにアクションを起こして勢いを殺さない
  • ちょうどよい規模の提案があれば、過去の経緯も伝えた上で実行までお任せしてみる
  • 敬意がなさすぎる、個人を責めがち、といった問題があれば、伝え方に関してすぐにフィードバックする
  • 既存メンバーに対しても、これらの心構えを伝えておく
  • 正論を受け入れられる心の余裕を持てるように調整しておく(これが一番難しい)

もちろんメンバーやチームの規模、相手の性格によっても色々変わるとは思うし、正論に対する事情もたくさんあると思う。

阿良々木くんの「正論は人を傷つける、いつだって」という台詞を念頭においた上で、ギルガメッシュのようにすべてを飲み込んでいける技量を持って明日をもっとよくしていきたい。